☆ え!? お持ちでない

皆さんは天体ガイドブックをお持ちと思いますが、これは「るるぶ」のような旅行ガイドブックみたいなものです。これに対して星図は道路地図のようなもの。
最近は書店で買える星図が少なくなりましたが、ネットから無料で入手できるものが結構あります。
どれも大変な労作で、世界には親切な方がいるものです。ここは感謝して使わせていただきましょう。
なお、今回ご紹介の星図はどれもPDFファイルで提供されていて、パソコン画面上で見るのではなく、プリントして使うのを原則としています。
きれいにクリアファイルに入れて愛用するもよし、必要な図だけをプリントして持ち出すもよし、使い方はあなた次第です。
というわけで、私が実際に使っているものを中心に“無料ダウンロード星図”をいくつかご紹介します。(まだあるかもしれませんが)

百均で買ったフラットファイルにとじた星図
これも百均にあったクリアファイルに製本した星図

★ Free Mag 7 Star Charts

横長で全10図。白黒版とカラー版がアップされており、名前のとおり7等級の恒星まで出ています。
星座の線が描かれていて便利なのですが、私たちが知っている星座線と異なっている星座もあるため(例:しし座)このへんは好みの分かれるところです。
名前のとおり7等級の恒星まで出ています。

https://www.cloudynights.com/articles/cat/articles/observing-skills/free-mag-7-star-charts-r1021

「Free Mag 7 Star Charts」のオリオン座

★滝星図(6.5等)

東亜天文学会会員の滝敏美氏が制作したもので、全12図で、各図は縦長。
ほぼ肉眼の限界等級までが載っていますが、星雲・星団などは多く載っているので、ふつうの星空観望では、これでじゅうぶんでしょう。
A4にプリントですとちょっと細かくなりすぎるので、コンビニコピー機などでB4かA3にプリントして、
二つ折りで使うとちょうどよいと思います。

http://takitoshimi.starfree.jp/index.htm

「滝星図(6.5等)」のオリオン座

★滝星図(8.5等)

これも滝敏美氏の作で、全146図からなる大作です。A4プリントでちょうどよいサイズで使いやすいです。
これと前述の6.5等星図の2つがあれば、大抵の用途はまかなえます。
滝氏はこのほかに重星星図というのも出されています。
このように便利なものを制作し、誰でも自由に使えるように発表されていることに、深く感謝する次第です。

http://takitoshimi.starfree.jp/atlas_85/atlas_85_jp.htm

「滝星図(8.5等)」のオリオン座

★Beginners Star Atlas v.2

全6図で横長。6等級まで掲載されています。
ビギナー用というにはもったいない。
オールドファンには懐かしいベクバル星図を彷彿とさせるレイアウトです。

「Beginners Star Atlas v.2」のオリオン座

★Deep Sky Atlas

全80図、横長。
deepskyと名付けられただけあり、系外銀河等が豊富に出ています。しかし、表示はあれども番号(名前)が記されていないものが多いのが残念です。ディープスカイを探訪する場合は、他の星表との併用が必要かも。

https://www.deepskywatch.com/files/deepsky-atlas/Deep-Sky-Atlas-full.pdf

「Deep Sky Atlas」のオリオン座

★Deep Sky Hunter Atlas

全101図、縦長。
10等級まで出ている星図です。高価なウラノメトリア星図なみの情報量が無料で入手できるのですから、これは素晴らしいです。
バックが白で黒字の机上版と黒バックで白字のフィールド版がアップされています。
フィールド版は夜空の星を見るようで美しいのですが、ご家庭のプリンタで印刷すると、インクを膨大に消費するので注意が必要です。ここはコンビニコピーか、残業と称して会社のコピー機を拝借するのがよいと思います(あくまで個人責任でお願いします)。

https://www.deepskywatch.com/deep-sky-hunter-atlas.html

「Deep Sky Hunter Atlasフィールド版」のオリオン座

「Deep Sky Hunter Atlas 机上版」のオリオン座

★星図を育てる

紙の星図ですから、いかようにでもバシバシ書き込めます。たとえば・・・・

(1)線を引く

星座線を引いて、星座の形を覚えるだけでなく、導入のための補助線を引き、自分だけの導入方法を考えるのは楽しいです。

(2)星座名を記入

今回紹介の星図はどれもラテン語表記(英語読みが多い)なので、たとえばCygnusの脇に「はくちょう」と記入しておくと、ラテン語の星座名を覚えられるし、位置も覚えられる。雨の日のひまつぶしにもってこいです。

(3)感想を書いておく。

実際に観望しての見え方、気づいたこと、日付などを書いておくとよい記録になります。

私は、以前はえんぴつで記入していましたが、最近は色が多彩で間違えたら消せるフリクションボールペンを使っています。

記入スペースが足りないときは、矢印を引っ張って余白に記入します。私は印象を「nice」とか「FINE!」などと記しています。「分離できない」「poor」なんてケースもしょっちゅうですが・・・・。

30年近く使ってボロボロのベクバル星図
★   ☆   ★   ☆

このようにしてあなたの星図は、少しずつ育っていきます。
星のない夜にいろいろ書き込んだ星図を眺め、こんどはこいつを見てやろうなどと計画を立てるのは、楽しいものです。
「俺はパソコン星図を使っているから、紙の星図は必要ない」という方や、「自動導入があるから星図はいらない」って方もおられるでしょう。もちろんそれはそれで結構なことです。ただ、なんといっても無料ですから、これは使わないのはもったいないというわけです。

私が所属する川崎天文同好会の大先輩故原田光次郎先生は、チェコのベクバル星図をカメラで接写して、ポケットサイズに縮小プリントしたのをいつも持ち歩いてました。
同好会の集まりで面白い天体の話題が出たりすると、これをやおらポケットから取り出し、しばしルーペで眺めて、
「ああこの星ね」
なんてにこにこしながら言ってました。
パソコン星図では、こうはいきませんよねえ。