★ 今月の天文現象

夏休みも終わったというのに、まだまだ暑い日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。

日暮れも少しずつ早くなり、天体観望がしやすくなってきました。

9月といえば「中秋の名月」。今年の中秋(旧暦8月15日)は9月29日(金)です。季節感が乏しくなっているこのごろ、今年はお月見だんごを飾って月見なんてどうでしょう。スーパーでも買えますし・・・。できればススキも飾りたいところですね。

ひとくちメモ

日本ではお月見といえばおだんごですが、中国や台湾ではこの日は「中秋節」と言って、親しい人に月餅を贈ってお祝いをします。中秋節前にはコンビニでも「月餅の注文承ります」というポスターが貼られ、季節の風物詩となっています。

参考リンク:

・中秋の名月(国立天文台)

https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2023/09-topics04.html

◆ 月が木星に接近(9月4日)

4日の晩から5日払暁にかけて、月が木星の近くを通過します。

望遠鏡では倍率が高くて視野が狭いので、月と木星両方を同一視野に見ることは難しいです。ここはやはり、視野が広い低倍率の双眼鏡の出番です。

月が木星に近づき、離れていくのは結構長い時間がかかるので、帰宅後に見て、お風呂に入る前に見て、出てから見て、夕食前後に見て、寝る前に見て・・・という具合に見ると無理なく楽しめると思います。

参考リンク:

・月が木星に接近(国立天文台)

https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2023/09-topics01.html

・日の出光学(上記のヒノデ双眼鏡を販売する、スコープテックの姉妹サイト)「双眼鏡で星を見る~夏秋編」

https://bino.hinode-opt.jp/column/hoshimi2.html/

◆月とプレアデス星団の接近(9月5日)

前夜木星に接近した月が、この晩はプレアデス星団(すばる)の近くを通ります。 プレアデスにだんだん近づき、また離れていくようすを楽しんでみましょう。

参考リンク:

・日の出光学(上記のヒノデ双眼鏡を販売する、スコープテックの姉妹サイト)「双眼鏡で星を見る~夏秋編」

https://bino.hinode-opt.jp/column/hoshimi2.html/

◆土星が見ごろです

19時頃、東の空に上がってきます。22時頃になると観望しやすい高度まで上がるので、あの美しく不思議な環(わ)を楽しむことができます。環の傾き(開き)の形もちょうどよく、太陽系一番のチャーミングな姿が楽しめるでしょう。これから少しずつ環の傾きが少なくなってきますので、今年はチャンスです。

参考リンク:

土星が見頃(国立天文台)

 https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2023/08-topics04.html

◆明け方の金星が最大光度(9月19日)

19日に最大光度、-4.8等の明るさとなります。早朝、まだ空が暗いうちに、東空を見てください。いちばん明るい星、それが金星(明けの明星)です。

金星は、空が明るくなってからもかなりの間見えています。晴天なら、太陽が上がった後でも見えることがわかります。どのくらいまで見えているか確かめるのも面白いでしょう(朝ごはんと出勤準備をお忘れなく)。

◆秋の宝石箱「ペルセウス座の二重星団」

二つの散開星団がくっついたように見えることから“二重星団”と呼ばれています。

西側がh星団、東側がχ星団と言い、両方合わせてh+χ(エイチカイまたはエッチカイ)とも呼ばれています(マニアはだいたいエイチカイと呼んでいるようです)。

月のない夜なら口径3㎝ていど双眼鏡でもパラパラっとした星団の姿がわかります。5㎝クラスの双眼鏡なら一つひとつの星に分離できて、面白い眺めです。

空の暗い環境なら、赤、青、黄などの色とりどりの星があるのがわかり、まるで二つの宝石箱をひっくり返したような美しさです。

天体望遠鏡を使うときは、なるべく低倍率で見てください。

二重星団の探し方

(1)カシオペア座のWの形をみつけてください。

(2)双眼鏡でW形の2つめと3つめの星を結んでください。

(3)結んだ線を3つめ側に約2倍延長してください。小さな星が集まっているのがわかると思います。これがペルセウス座の二重星団です。

参考リンク:

二重星団(wikipedia)

https://w.wiki/75UN

・日の出光学(上記のヒノデ双眼鏡を販売する、スコープテックの姉妹サイト)「双眼鏡で星を見る~夏秋編」

https://bino.hinode-opt.jp/column/hoshimi2.html/

★ 今月の惑星

・水星:22日の西方最大離角の前後が観望のチャンスです。ちょうど最大光度を迎えている金星と一緒に楽しんでみましょう。夜明け前に東の空が開けている場所で見てください。

・金星:明けの明星として、未明の東空に輝いています。早起きして楽しんでください。

・火星:地球からもっとも遠くなり、当分は観望には不向きです。

・木星:20時頃上がってくるので、まだ夜ふかしが必要ですが、これからがだんだん観望の好期になっていきます。

・土星:上記のとおり観望の絶好期です。

★ 今月の月

月は私たちの地球に最も近い天体です(流星と隕石は除く)。は地球の約4分の1の小さな天体ですが、38万㎞と距離がきわめて近いので、太古から、もっとも親しまれている天体といえます。

月は小型の天体望遠鏡でも手軽に観察できます。

まだ望遠鏡で月面を見たことのない方は、ぜひ見てください。きっとびっくりするはずです。

9月は7日が下弦、15日が新月で西空に回り、夕方に見やすくなり、23日が上弦、29日が満月ですので、お子さんでも楽しみやすいのは下旬頃でしょう。

なお、29日の満月は「中秋の名月」です。

参考リンク:

・今日のこよみ(国立天文台):月の欠け具合、月の出、南中、月の入の時刻がわかります。
 https://eco.mtk.nao.ac.jp/cgi-bin/koyomi/sunmoon.cgi
 

★月面ビューポイント:虹の入江

溶岩の流れにより、古く大きなクレーターの一部に切れ目ができ、あたかも半円形の入江のようになったと考えられています。直径が230㎞以上もあり、四国がすっぽり入ってしまうくらいの大きさです。

半円形の湾がなんとも美しく、小型望遠鏡でも無理なく楽しめます。

月面でもっとも美しい場所と言ってよいかもしれません。

上弦の月を少し過ぎた頃がもっとも鮮明に見ることができます。

参考リンク:

・月の地形一覧(wikipedia)
 https://w.wiki/6tW4