★ 今月の天文現象
秋はいろいろ、人それぞれ。 食欲の秋、スポーツの秋、読書の秋・・・・いや、天体観望の秋でもあります。ちょっとの間、本を閉じて星を見てみましょうか。
◆ りゅう座流星群(10月9日)
ジャコビニ・ジンナー彗星を母彗星とする流星群で、ジャコビニ流星群という別名があります。1972年の極大時には、大流星雨が見られると日本じゅうが大騒ぎをしましたが、結局流星雨は見られませんでした。オールド天文ファンには「懐かしくも人騒がせな流星群」のイメージがあることでしょう。
今年は月明かりがないので、観測には好適ですが、放射点(輻射点)の高度が低いこともあり、1時間に数個ていどの出現と考えられています。
10月9日の午後が極大とみられていますので、薄暮が終わったあたりの早い時間帯が狙い目です。夜遅くなると放射点が水平線下に沈んでしまうので、流星はほとんど流れなくなると思われます。
参考リンク:
・ジャコビニ流星群(wikipedia)
◆オリオン座流星群(10月22日)
ハレー彗星を母彗星とする流星群のひとつです。オリオンが棍棒を振り上げた方の腕の先あたりに放射点(輻射点)があります。今年は月明がないため好条件ですが、22日の午前9時頃が極大とみられていますので、観測したい方は21日の22時くらいから翌22未明までが観測の好期です。
参考リンク:
・オリオン座流星群(wikipedia)
◆天王星を見てみよう
天王星は直径が地球の4倍(質量は15倍)ある惑星ですが、土星よりさらに遠く、最も明るいときで5.6等星ですから、肉眼で見ることはほぼ困難です。
しかし、望遠鏡で見る天王星は、やわらかい水色をした可愛らしい星です。太陽系でいちばん美しい色の惑星でしょう。
10月中の天王星は、木星とプレアデスから探すのが便利です。
木星とプレアデス(すばる)の間にゴムひもをピンと張り、その中央部分をつまんで、少しだけ南側に引っ張ったあたりにあります。 天王星も木星も移動があまり早くないので、10月中は、ほぼこの探し方で見つけられると思います。他の星のようにキラキラと輝いていなくて、面積があるように見えます。これが天王星です。
参考リンク:
・天王星(wikipedia)
◆今月も土星が見ごろです
15時頃、東の空に上がるので、ほぼ一晩じゅう観望できます。日没直後に南東の空に明るく見えるのが土星です。(この後もっと明るい木星が昇ってきますが・・・・)
環が開いていてもいなくても土星には変わりありませんが、やはりこのくらいは開いていないと、ちょっと面白くありません。来年以降はもっと環の傾きが少なくなるので、とにかく今年は土星をたっぷり楽しみましょう。
参考リンク:
・土星(wikipedia)
◆明け方の金星が見ごろ(12月中旬頃まで)
先月に引き続き、“明けの明星”金星が払暁の東天に明るく輝いています。
24日に西方最大離角となり、太陽からもっとも離れますが、観望チャンスは長く、12月中旬までは、どなたでもすぐわかるくらい明るく輝いています。
先月の星空情報でも書きましたが、金星は、空が明るくなってからもかなりの間見えています。晴天なら、太陽が上がった後でも肉眼で見えることがわかります。どのくらいまで見えているか確かめるのも面白いでしょう。ただしヨガ開けてからの金星は、いったん見失うと再度見つけることが意外に難しいです。
参考リンク:
・金星の概要(JAXAあかつき特設サイト)
https://www.jaxa.jp/countdown/f17/overview/venus_j.html
◆10月29日明け方は部分月食
29日(日)未明、月が部分月食があります。
食分が約0.13で、月が地球の影をわずかにかすめるだけですが、もし早起きができたら、見てみるのがお得です。 低空での現象なので、西の空が開けた場所で見るのがよいでしょう。
半影食の始め 3時02分
本影食の始め 4時35分
食の最大 5時14分
本影食の終わり 5時53分
日の出 5時59分(東京)
半影食の終わり 7時28分
参考リンク:
・月食(wikipedia)
・10月29日は部分月食(国立天文台)
https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2023/10-topics03.html
・月食とは(国立天文台)
https://www.nao.ac.jp/astro/basic/lunar-eclipse.html
★ 今月の惑星
・土星:上記のとおり引き続き観望の絶好期です。
・木星:18時頃上がってくるので、観望の好期です。楕円形の外形、表面の縞模様、ガリレオ衛星などが小口径の望遠鏡でも楽しめます。
・火星:地球からもっとも遠くなり、当分は観望には不適当です。
・金星:10月24日、西方最大離角となり、明けの明星として、未明の東空に輝いています。早起きして楽しんでください。
・水星:10月上旬は明け方の空低くあり、なんとか見られますが、その後太陽との離角が少なくなり、20日に外合となるので、その前後は見ることができません。
・天王星:暗い星ですが、上記のとおり探しやすい位置にいます。ぜひご覧ください。
★ 今月の月
今年10月27日は「後(のち)の月」と呼ばれる「十三夜」です。これは中秋の名月の翌月の満月の2日前で、昔は「栗名月」「豆名月」とも呼ばれていました。
完全な円形もよいけれど、少しだけ完璧に満たないものを愛でるというのは、いかにも昔の日本人の美意識に合っている感じがします。
なお10月は6日が下弦、15日が新月で西空に回り、夕方に見やすくなり、22日が上弦、29日が満月で、未明に全国で部分月食が見られます。
参考リンク:
・今日のこよみ(国立天文台):月の欠け具合、月の出、南中、月の入の時刻がわかります。
https://eco.mtk.nao.ac.jp/cgi-bin/koyomi/sunmoon.cgi