☆ ごあいさつ
皆様こんにちは。
早いものでもう師走。なにかと気ぜわしい日々ですが、星だけは変わらずに輝いています。
今年はだいぶ暖かい日が多いようですが、それでも冬です。お風邪など召さぬようご自愛ください。
それでは2024年12月の星空情報をお届けいたします。
明けわたる雲間の星のひかりまで 山の端さむし峰の白雪 藤原家隆
★ 冬のダイヤモンド
今月も東天はとても賑やかです。
冬の大三角は有名ですが、この冬はさらにゴージャスな「冬のダイヤモンド」を楽しんでみましょう。
<冬のダイヤモンドの星々>
・カペラ(ぎょしゃ座)
・アルデバラン(おうし座)
・リゲル(オリオン座)
・シリウス(おおいぬ座)
・プロキオン(こいぬ座)
・ポルックス(ふたご座)
この6個の星を結ぶと大きな六角形が描けます。これが冬のダイヤモンドと呼ばれている星の配列です。すべて一等星です。正六角形というわけにはいきませんが、ひじょうに雄大なダイヤモンドです。
天体望遠鏡も双眼鏡も不要。これは肉眼に限ります。
★木星も忘れちゃいけない
今年の木星は「冬のダイヤモンド」の中にいるので、すぐにわかるでしょう。
木星は視直径が大きく、見て楽しい星です。はじめて見る方は、次のようなところに注意してご覧ください。
◆ポイント1(しま模様)
なんといっても木星で目立つのは「しま模様」でしょう。
約10時間で1回転と結構早く(木星の1日は10時間ということです)、20分も眺めていると模様の移動がわかります。
◆ポイント2(丸くない)
木星の形をよく見てください。真ん丸ではないことにすぐ気づくはずです。楕円形、みかんを横から見たような形に見えると思います。
◆ポイント3(4つのガリレオ衛星)
木星には大小合わせて95個の衛星が発見されていますが、私たちが望遠鏡で見ることができるのはイオ、エウロパ、ガニメデ、カリストの4つです。
発見者の名にちなんで「ガリレオ衛星」と呼ばれています。
参考リンク:
・木星(Wikipedia)
★これは面白い「土星食」(12月8日)
12月8日(日)夕方、土星食が起きます。
折から見ごろの土星が、月の裏側に隠れる現象です。
欠けている暗い側から潜入し、明るい側からの出現です。
各地の潜入、出現時刻を下に記します。
土星食は面白い現象で、瞬間的に潜入、出現が起きる恒星食と異なり、面積のある土星がゆっくり月に隠され、少しずつ出てくるという、なかなか珍しい眺めが楽しめます。
潜入 出現
札幌 (食されない)
仙台 18:27 18:57
東京 18:19 18:59
大阪 18:20 18:21
福岡 (食されない)
那覇 17:54 18:26
参考リンク:
・土星食(国立天文台ほしぞら情報)
https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2024/12-topics02.html
★火星が近づいています
火星は約2年2か月ごとに地球に接近します。来年(2025)1月12日が最接近で、現在地球との間隔を徐々に詰めているところです。
今回は最も接近したときでも火星の視直径は約15秒角で、小接近というところです(大接近のときは25秒角を超える)。それでも接近は接近。見た方が得です。
火星の模様は毎回のように変化しますが、木星のようにはっきりしないため、最初はよくわからないと思います。さらに今回の接近は視直径が小さく、冬季でシーイングが悪い(大気の乱れが多い)ので、一段と難しいと言えます。
でも、気流の乱れでふわふわしている火星が、ときおりピシッと揺れが途切れた瞬間、模様のようなものが見えてくることがあります。時によっては白く輝くダストストーム(火星の砂嵐)を発見できるかもしれません。
火星を見るには、口径の大きい望遠鏡が適しています。
倍率はなるべく高い方がよいです。火星は表面輝度が高いので、高倍率に耐えられます。
参考リンク:
・火星(Wikipedia)
★プレアデス食(14日未明)
12月14日未明、プレアデス星団(すばる)が月に隠されるプレアデス食が起きます。午前3時15分頃から始まりますが、少し早い時間から見始めるのがよいでしょう。望遠鏡でなくても双眼鏡でも楽しめます。
今回は月齢12.5と月が少々明るすぎるのと、高度が低いきらいがありますが、月がプレアデスの星々を次々と隠していく様は、とても面白いです。
プレアデス食を見ていつも思うことは、プレアデスは結構大きい(月は存外小さい)ということです。
参考リンク:
・プレアデス星団(Wikipedia)
★スピカ食(12月25日未明)
クリスマスの明け方、おとめ座のスピカが月齢23.5の細い月に隠される「スピカ食」があります。
明潜入、暗出現です。
明け方の現象ですが、この時期は日の出が遅いので、出現まで見られると思います。ただし、東の低空での現象ですので、東側の視界が開けた場所でご覧ください。
潜入 出現
札幌 (食されない)
仙台 03:24 04:06
東京 03:17 04:13
大阪 03:10 04:14
福岡 03:06 04:13
那覇 03:05 04:14
参考リンク:
・スピカ(Wikipedia)
★オリオン大星雲(M42)を見よう
空の悪い街中でも、月がなく(あるいは小さく)、天気がよければオリオン大星雲は容易に見られます。望遠鏡でよし、双眼鏡でもよし。空の環境がよいなら、肉眼でもボーっとにじんだように見えます(望遠鏡の場合は低倍率で見てください)。
オリオン座の三つ星の下にさらに小さい三ツ星があります(これを通称「小三つ星」とも言います)。この小三ツ星の真ん中にオリオン大星雲はあります。
オリオン大星雲は私たちの太陽系の1,300光年先にある散光星雲です。その星雲の中心部では、今まさにたくさんの新しい星が生まれつつあり、まさに「宇宙のゆりかご」と言える場所です。
参考リンク:
・オリオン大星雲(Wikipedia)
★今月の惑星
・水星:12月25日に西方最大離角になり、この前後には明け方の東天低く見えます。
・金星:一番星、宵の明星として夕方の西空に輝いています。
・火星:20~19時台に昇ります。現在視直径は11秒角程度ですが、これから1月12日の最接近に向けて大きくなっていきます。火星のすぐ近くにはプレセペ星団があります。
・木星:おうし座のツノの間にいて、一晩中見えています。観望の好期です。
・土星:夜半前後に沈みます。相変わらず観望の好期です。
・天王星:プレアデスの近くにいます。
参考リンク:
・太陽系天体の出入りと南中(国立天文台)
https://eco.mtk.nao.ac.jp/cgi-bin/koyomi/cande/riseset.cgi
★今月の月
12月は1日が新月、上弦が9日、満月が15日、下弦が23日、大晦日の31は今月2回目の新月です。
参考リンク:
・今日のこよみ(国立天文台):月の欠け具合、月の出、南中、月の入の時刻がわかります。