☆ ご挨拶
皆様こんにちは。
今年の夏は暑かったですね。もっともこの文を書いているのは8月中旬ですので、現時点ではまだ強烈に暑い日々です。来年も再来年もこんな夏になるかと思うと、いささかゾッとします。この時期は、夏の疲れが出がちです。皆さまお大事にお過ごしください。
秋を迎え、だんだんと夜の時間が長くなってきました。でも、むしろ今頃の方が夏の星々を楽しめる時期かもしれません(星の位置・座標にもよりますが)。快適な星見を楽しみましょう。
それでは、9月の星空情報をお送りいたします。

★9月の夜空
9月になっても夏の大三角は中天高く輝いていますが、すでに南のさそり座は低く、西寄りとなり、たいへん見ずらいか殆ど見られないというところ。今年も夏が終わった感があります。
東の空には秋の四辺形が上がってきました。ギリシャ神話のエピソードが豊富な秋の星座たちの出番です。
土星も上がってきました。環の傾きはまだ浅いですが、それはそれで楽しみなもの。観望の好期到来です。

★金星とプレセペの接近(1日)
1日午前3時頃(8月31日の深夜です。お間違えなく!)、金星とかに座のプレセペ星団(M44)が接近します。高度が低いので、東の空が開けた場所でご覧ください。
天体望遠鏡で見る場合、低倍率でないと同一視野内での観望はちょっと厳しいですが、双眼鏡でしたら楽に視野内に納まります。


天体望遠鏡では、天頂ミラー、天頂プリズムの使用の有無によって、倒立像や裏像になることがありますので、ご注意ください。
詳しくは以下のリンクを参照してください。
・スコープタウン(用語集)「天頂ミラー」
https://scopetown.jp/word/zenith-mirror/
参考リンク:
・プレセペ星団(wikipedia)https://w.wiki/6doQ
・金星(天体)(wikipedia) https://w.wiki/4X3t
★9月8日(7日の夜)は皆既月食です
今月のハイライトはやはり皆既月食でしょう。起きるのは7日の深夜です。お間違いのないようにお願いします。各現象の時刻は以下のとおりです。
部分食の始まり 1時27分
皆既食の始まり 2時30分
食の最大 3時12分
皆既食の終わり 3時53分
部分食の終わり 4時57分
(東京の月没 5時27分)
皆既月食は、それほど珍しい天文現象ではありませんが、それでもいろいろ楽しみはあります。
また、皆既月食はたいてい長時間の現象が多く、皆既日食や掩蔽(星食)などのように分秒を争う緊張感がありません。
今回も皆既時間だけで1時間13分もありますので、“まったり”と楽しむことができるでしょう。


⦅楽しみ1⦆小望遠鏡でもじゅうぶん楽しめる
皆既月食は、小さい望遠鏡でも楽しめます。相手が月ですから、遠くに出かけなくてもOK。月が欠ける現象ですから、観測対象を探すのに苦労するなんてこともありません。望遠鏡を月に向ければ、それが観測対象です。お手持ちの機材を活用して、ぜひ存分に楽しんでください。
《楽しみ2》色と明るさに注目
なんと言っても、皆既中の暗くなった月の色が楽しめます。
地球に隠された太陽光が地球の大気に当たり、そのうち長波長(赤系)の光が通り抜け(屈折します)、その光が月を照らします。そのため、皆既月食中は月が完全に見えなくなるのではなく、赤銅色になります。まあ、月が地球の夕焼けに照らされているようなものです。この赤銅色の色や明るさは毎回同じではなく、結構明るいときもあれば暗いときもあり、たいへん面白いものです。
1992年の皆既月食のときは、前年フィリピンのピナツボ火山が大噴火し、噴煙の細かい粒が成層圏に広がったため、皆既中の月がまったく見えなくなり、びっくりしました。さて、今回はどんな色でどのくらいの明るさか・・・・興味深いものがあります。
下のWikipediaのリンク中に皆既中の明るさの度合いを示す「ダンジョンの尺度」(ダンジョン・スケール)が記されていますので、参考にしてください。
⦅楽しみ3⦆星が見えてくる
皆既月食は満月時の現象です。満月中は明るい星しか見えません。ところが、月食が始まり、だんだんと食分が深くなってくると。星がたくさん見えてきます。
また、月による自分の影も消え、一緒にいる人の顔もよく見えなくなったりします。改めて満月とは明るいものだと実感できるでしょう。こういった「付随する現象」を見つけるのも面白いことです。
⦅楽しみ4⦆カメラに収めてみよう
最近のカメラやスマホは高性能です。とりあえず撮ってみましょう。長時間の現象ですからあわてる必要はありません。露出やズーム倍率も、いろいろ変えてみてください。
ただし、手持ち撮影ではどうしてもブレてしまいます。カメラやスマホは三脚に据えるか、何かにもたせかけ、セルフタイマーを使用して撮ってみてください。結構よく撮れるはずです。何枚も撮影して、その中でうまく写ったやつだけを人に見せれば、それでOK。
参考リンク:
・月食(wikipedia) https://w.wiki/F5zq
★ にぎやかな明け方の空
未明の空に冬から春の星座が上がってきて、東の空が俄然賑やかになってきました。
今シーズンは木星と金星が彩を添えています。1等星以上が9個も集まっているのですからこいつは堪えられません。まだ夜明けが早く、よほど早起きしないと見られませんが、まあそこは頑張ってください。
★金星とレグルスの接近(20日/未明)

20日の未明、東の空で金星としし座のレグルスが大接近します。
天体望遠鏡ですと40~50倍でも同一視野に入ってしまいますので、楽しめる現象だと思います。
参考リンク:
・レグルス(天体)(wikipedia) https://w.wiki/3PaG
今月の惑星
・水星:13日に外合となるため見られません。
・金星:明けの明星として輝いています。
・火星:夕方の西空にありますが、地球からだいぶ遠ざかり、見ずらいです。
・木星:引き続きふたご座にいて、明け方の東の空で輝いています。
・土星: 9月22日に衝。観望、観測、撮影の好期です。
・天王星:未明の南の空にいます。
参考リンク:
・太陽系天体の出入りと南中(国立天文台)
https://eco.mtk.nao.ac.jp/cgi-bin/koyomi/cande/riseset.cgi
★今月の月
2025年9月は8日が満月(皆既月食)、下弦が14日、22日が新月、30日が上弦となります。
<月に接近する天体>
6日(土)みずがめ座ι(イオタ)の食
8日(月)土星
17日(水)ポルックス(未明)
18日(木)プレセぺ(未明)
20日(土)金星、レグルス(夜明け前)
27日(土)、28日(日)アンタレス(夕方)
参考リンク:
・今日のこよみ(国立天文台):月の欠け具合、月の出、南中、月の入の時刻がわかります。
https://eco.mtk.nao.ac.jp/cgi-bin/koyomi/sunmoon.cgi