★ 今月の天文現象

日暮れは早く、夜明けはますます遅くなり、ますます秋が深まってきました。

夜は長袖のシャツだけでは寒く、セーターやジャケットの出番ですね。

この夏楽しんだこと座やはくちょう座は西に低く、東の空からはお楽しみの冬の星たちが上がってきました。土星も木星も見やすいところにいます。今月もいろいろ楽しみましょうか。

しし座流星群が極大(11月18日)

2001年の大流星雨に感動された方も多いでしょう。母彗星のテンペル・タットル彗星の回帰は8年後の2031年ですので、今年はまだ大出現は期待できませんが、彗星軌道上に流星物質の濃い場所があると考えられており、そこに地球が突入する可能性もあるため、注目する必要があります。今年は月明がないので、その点からも“監視”してみる価値はあるかもしれません。

・参考リンク:

・しし座流星群(wikipedia)

https://w.wiki/3msP

・テンペル・タットル彗星(wikipedia)

https://w.wiki/7q6h

細い月と金星が接近(11月9日未明)

朝早くまだ暗いうち、月と金星が接近します。

この日は二十六夜の月で、細い月と金星でちょうど長靴メーカーのロゴか中東の国の国旗みたいに見えると思います。

◆月から天王星を探してみる(11月26日)

天王星の位置は10月の星空情報に図で示したとおりですが、なかなか見つけずらいものです。

ところが、11月26日(日)夜、天王星が月に2°まで接近します。月の直径の4つ分しか離れていません。もちろん双眼鏡の同一視野に楽に入ります。

惜しいことに満月前日で月がまぶしいですが、探してみましょう。

すばるばかりじゃなく俺も見てくれ! byヒアデス

ヒアデス星団は、おうし座の1等星アルデバランのすぐ近くにある大きな散開星団です。

アルデバランもヒアデス星団の一部のように見えますが、これはたまたま同じ方向に輝いている(というよりほとんど重なっている)だけです。ヒアデス星団が地球から150光年離れているのに対して、アルデバランは60光年と半分以下の距離です。

見かけの直径が6°ちかくあるので、これはもう低倍率広視界の双眼鏡で楽しむ対象です。

見つけるのは簡単。肉眼でアルデバランを見つけ、その方角に双眼鏡を向けてみましょう。そこには、V字形の星の並びを中心とした、星の大集団があります。

双眼鏡のサイズにもよりますが、50個以上は数えられます(たぶん数えきれない)。

これがヒアデス星団です。

ちょっと膨らんだV字形がお寺の鐘みたいに見えるところから、日本では古くは「釣鐘星」「鐘撞き星」などと呼ばれていました。あなたは何に見えますか?

参考リンク:

・ヒアデス星団(wikipedia)

https://w.wiki/7Du3

★ 今月の惑星

・水星:12月4日東方最大離角になるので、11月末になると夕方の西の低空に見えてきます。空がまだ明るいうちの水星はピンク色をして可愛らしく見えます。危険ですので、太陽が完全に没した後の明るいうちに、水星を探してみてください。

・金星:明けの明星として、未明の東空にひじょうに明るく輝いています。早起きして楽しんでください。

・火星:11月18日に合となります。地球からもっとも遠くなる時期なので、当分は観望には不適当です。(注:合とは太陽と同方向に行くこと)

・木星:11月3日に衝を迎え、一晩中見えています。観望の絶好期です。楕円形の外形、表面の縞模様、ガリレオ衛星などが小口径の望遠鏡でも楽しめます。(注:衝とは太陽の反対側に行くこと)

・土星:引き続き観望の好期です。

・天王星:5.6等と暗い星ですが、上記のとおり探しやすい位置にいます。ぜひご覧ください。

★ 今月の月

11月は5日が下弦、9日に金星と接近します。13日が新月で西空に回り、夕方に見やすくなり、20日が上弦、26日に天王星と接近します。27日が満月です。

参考リンク:

・今日のこよみ(国立天文台):月の欠け具合、月の出、南中、月の入の時刻がわかります。
 https://eco.mtk.nao.ac.jp/cgi-bin/koyomi/sunmoon.cgi
 

★月面ビューポイント:コペルニクスと月面N

コペルニクスクレーターは直径90kmを超える大型クレーターです。

底の深さは3,760mもあります。富士山の高さ(3,776m)と高さとほとんど同じ深さのくぼみというわけです。こんな場所は地球にはありません。

なんといってもこのクレーターの見どころは全周にわたる光条です。隣の(隣といっても相当離れていますが)ケプラークレーターとともに光条が全周にわたっており、見飽きません。また、クレーター内部にある2つの中央丘も楽しい見ものです。月面でももっとも華やかなクレーターのひとつでしょう。

もちろん小口径望遠鏡でじゅうぶんに楽しめるだけでなく、双眼鏡でもよくわかります。

見ごろは月齢9前後で、もっとも鮮やかにご覧になれます。

コペルニクスを見たら、コペルニクスの直径分くらい北西方向に視線を向けてください。

欠け際に、ちょうどアルファベットの「N」または「Z」に見える山塊が見つかるかもしれません。これが通称「月面N]と言われている地形です。

太陽光の日差しの角度で、「N」に見える時間帯が生じます。

実は見なかなか見ずらく、また見られる月齢9ちょっと過ぎくらいの数時間ていどです。

月面には他にも「月面X」や「月面E」など“それっぽく見える地形”があり、最近は月面観望の楽しみのひとつとして静かなブームになっているようです。月面Nはコペルニクスのすぐ近くというわかりやすい場所にあるので、チャレンジしてみてください。

(私は「月面Z]と呼んだ方が恰好良いと思うのですが・・・・)。

参考リンク:

・コペルニクスクレーター(wikipedia)

https://w.wiki/7oqJ

・コペルニクス(人物)については・・・ (wikipedia)

https://w.wiki/3CZf