☆ ごあいさつ
皆様こんにちは。
2月は寒かったですね。また多雪地方の皆様は、たいへんなご苦労をされたかと存じます。
ともあれ季節は春。少しずつ体が軽くなり、朝夕の通勤ラッシュにも若干の隙間ができてくる頃です。
3月は何かと忙しく、星どころではないという方も多いと思いますが、お時間がちょっとでもありましたら、ご覧になってみてください。
それでは、3月の星空情報をお送りいたします。

★今月は水星を見ましょうか
水星は太陽のもっとも近くを回っている惑星で、その公転周期88日(つまり水星の1年は88日というわけ)です。太陽に近く、地球から見た太陽からの見かけの角度が小さいため、五大惑星の中でもっとも見ずらい惑星です。
見られるのは夕方の西低空か明け方の東低空で、それも時期が限定されます。深夜の空高くに見えるなんてことはありません。あのコペルニクスも、生涯水星を見たことがなかったと言われています。
今月は「水星の東方最大離角」があり、夕方の水星を見るチャンスです。
いずれにしても水星は比較的難物です。根気よく(とはいえ夕方なので時間はかけられない)探してみてください。
夕方まだ明るい時間帯ですので、まず双眼鏡で見て確認し、それから望遠鏡で見てみるのが良いと思います。

参考リンク:
・水星(wikipedia)
★月と水星が接近(3月1日)
3月1日(土)の夕方、西空の超低空で月齢1.4の超細い月が水星に接近します。
まだ空が明るい時間帯ですので、月を見つけることは、かなり難しいと思います。日没直後(当日東京の日没は17時37分)から地平線に沿って双眼鏡をスイープして、月を探してみてください。
月が見つかれば、その同一視野内右下に水星がいます。もしかすると水星の方が先に見つかるかもしれません。この日の水星は-1等とじゅうぶん明るいのですが、なにぶん低空ですので薄明に埋もれてしまい、それほど明るいとは感じられないと思います。
なお月の左側のこれも双眼鏡の同一視野内に海王星がありますが、これはまあ無理でしょう。
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★ 月と金星が接近(3月2日)
2日には西の低空で、月齢2.4の月と金星が接近します。
金星は-4.8等と明るいので、これはすぐわかるはずです。
双眼鏡の視野には、ほぼギリギリですが、見て楽しい現象だと思います。

参考リンク:
・金星(wikipedia)
★プレアデス食(3月5日)
今年はプレアデス(すばる)食の当たり年で、4回起きますが、これが1回目。
地域によっても異なりますが、22時すぎ頃から、月齢5.6の月が、すばるの星々を次々に隠していきます。
今回は、関東地方以西では食されません(星団なので一部の星は隠されます)が、それでも月とすばるが超接近するわけですので、見ない手はないでしょう。
ただ、だいぶ西に低い空での現象ですので、西空の開けた場所でご覧になるのが、長い時間楽しめて「お得」です。

参考リンク:
・プレアデス星団(Wikipedia)
★水星が東方最大離角(3月8日)
内惑星が、地球から見てもっとも太陽から離れるのが最大離角です。水星は太陽の近くを回っている惑星ですので、なかなか見るチャンスが少ないのですが、この最大離角の前後数日間が、もっとも見やすくなります。今回は東方最大離角なので、夕方の西空で見られます。
日没後まだ空に明るさがあるうちから、西空のだいたいの場所に「あたり」を付けて双眼鏡を振りながら探してみてください。双眼鏡で見つかったら、今度は同じ場所を肉眼で見てみましょう。
★金星と水星が接近(3月12日)
3月12日には、水星と金星がほぼ同高度となり、双眼鏡の同一視野に入るくらいに接近します。
明るくて見つけやすい金星をまず双眼鏡で捉えて、金星を視野の右端に入れ、左側を注視すると、水星の存在がわかると思います。
★土星の環が消失(3月24日)
13日に合となった直後で、明け方側に回ったばかりの土星なので、ほとんど見ることはできませんが、24日に環の消失が起きます。
もっとも、この日だけでなく、前後かなりの期間、土星の環が見られなくなります。なぜ環が消失するのかについては、下記リンク(国立天文台のサイト)にわかりやすい解説がありますので、参考にしてください。
“消失”と言っても、環が見えなくなるだけで、消えてしまうわけではありませんので、どうも消失という言葉が適当でないような気がします。まあ、15・6年に1回の現象なので、観測者は気に留めないようですが、このままでは一般の方々が誤解を受けますので、何かよい「言い換え」が必要だと思います。どなかた名案を考えてください。

参考リンク:
・土星の環の消失(国立天文台)
https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/wiki/CFC7C0B12FB4C4A4CEBEC3BCBA.html
・土星(Wikipedia)
今月の惑星
・水星:8日に東方最大離角となり、夕方の西空で観望のチャンスです。
・金星:-4等級で、夕方の西空に輝いていますが、中旬以降にはだいぶ高度が下がり、見ずらくなるので、上旬が観望の好期です。
・火星:ふたご座にいて、19時前後に南中し、夜半すぎに沈みます。
・木星:おうし座にいて、あいかわらず明るく輝いていますが、午前0時頃には沈みます。
・土星: 24日に環の消失が起きますが、太陽に近く、ほとんど見ることができないでしょう。
・天王星:おひつじ座からおうし座に移動して、夜半前に沈みます。
参考リンク:
・太陽系天体の出入りと南中(国立天文台)
https://eco.mtk.nao.ac.jp/cgi-bin/koyomi/cande/riseset.cgi
★今月の月
2025年3月は7日が上弦、満月が14日、下弦が22日、29日が新月です。
<月に接近する天体>
1日(土・夕方)水星
2日(日・夕方)金星
5日(水)プレアデス食(西日本では大接近)
6日(木)木星
9日(日)火星
17日(月)おとめ座スピカ
参考リンク:
・今日のこよみ(国立天文台):月の欠け具合、月の出、南中、月の入の時刻がわかります。