6月のハイライトは上旬の水星と、21日(日)午後から夕方にかけての部分日食です。
特に日本全国で見ることができる日食は、部分日食とはいえ今回を逃すと次は2030年となります。

☆6月21日夕方の部分日食

部分日食は相手が「太陽」なので、普通の天体望遠鏡や双眼鏡で見たら一瞬で眼の網膜を焼いて失明してしまいます。
初心者の皆さんには、基本は望遠鏡や双眼鏡を使わず、肉眼で見る太陽観察専用の「減光フィルター」を使った観察がオススメです。

※望遠鏡や双眼鏡に特殊なフィルターや「太陽投影版」を付けて見る方法は、日食観察の経験者がすぐそばで指導しながらでなければ危険を伴います。

また日食の欠け具合(食分)と見え始める時間、一番大きく欠ける時間、終わる時間は日本各地で異なります。

下記webページにて、始まる時間、一番欠ける時間、終わりの時間、部分日食を見るための注意が非常にわかりやすいイラストと表・文章で書かれています。必ず確認してください。

日本全国で部分日食(国立天文台)

【特集】2020年6月21日(夏至)夕方 部分日食(アストロアーツ)

また弊社では日食観察用の商品は今回残念ながらお取り扱いいたしません。

しかしながら太陽観察用減光フィルター付の書籍として、他社になりますが下記商品をご紹介いたします。
弊社もよくお世話になっている「星の手帖社」オンラインショップでの取扱・販売商品です。

こども図鑑 太陽の観察(太陽観察安全グラス付、星の手帖社オンラインショップ)
 価格:880円(税込)※別途送料:600円(全国一律)がかかるので、合計:1480円(税・送料込)となります。

※日食が近づくと注文が殺到する可能性が高く、発送も到着も間に合わなくなる可能性があります。
 くれぐれもご注意ください。

21日の前に弊社からもツイッター・Facebook・弊社ホームページ・情報メール等で日食観察の情報をお知らせする予定です。

☆望遠鏡・双眼鏡におすすめの天文現象
・1日~13日の夕方、西北西の低空で水星が見やすい
・8日深夜~9日夜明け前にかけて月と木星の接近
・13日夜明け前の月と火星の接近

5月下旬から夕方の西北西の低空に見えている水星は、6月4日に太陽から左側に一番離れたところに見えます(東方最大離角)。6月1日には今年一番高い位置に見えて、13日頃までは日没30分後で地平線からの高度10度以上で見えます。
普段は太陽に近くて見つけるのが難しい水星を見るチャンスです。

2020年6月1日19時20分(日没約30分後)、東京から西北西方向の低空

5月22日や24日が晴れてくれれば近くにいた金星や月が良い目印になったのですが、目印が無いと見つけづらいかもしれません。
西側に山や建物がある場合はもっと早目に見えなくなるため、先日もお伝えした下記2点が大事ですので繰り返します。

・あらかじめ方位磁石や地図(グーグルマップや紙の地図どちらでもOK)で、
 西北西方向の見える範囲や建物を確かめておくこと
・地平線からの高度も10度以上が見えるか確かめておくこと

高度=角度で測ります。
自分の腕を体の前に伸ばして、手を握ってゲンコツを作ります。その状態で見たゲンコツの縦1個分が角度の約10度になります。
体がまっすぐ立てば自分の眼の高さがほぼ地平線・水平線に合うので、ゲンコツの底を自分の眼の高さに合わせて高度10度の大体のラインを確かめます。

双眼鏡・望遠鏡で見る場合、日没の時間にも必ず注意してください。
双眼鏡・望遠鏡で誤って太陽を見てしまった場合、失明してしまう可能性があります。

8日深夜から9日夜明け前にかけての月と木星の接近、13日夜明け前の月と火星の接近は、3月・4月に比べると離れて見えますが、5倍~7倍程度の双眼鏡ならひとつの視野で見ることができます。
また月を目印に木星・土星・火星をそれぞれ探しやすい機会と云えます。

2020年6月9日1時、南南東方向の空

下記に参考になるwebページをご紹介します。

6/4 水星が東方最大離角(国立天文台)

月が木星、土星、火星に次々と接近(国立天文台)

2020年6月8日 月と木星が接近(アストロアーツ)

2020年6月13日 月と火星が接近(アストロアーツ)

☆望遠鏡・双眼鏡を使わずに楽しめる天文現象

水星は肉眼でも見つけられる今年一番の良い機会です。
1日~13日頃までは、日没30分後で地平線からの高度10度以上の高さにいますから、上記のリンクを参考にぜひ肉眼でも探して見てください。

金星は4日に地球と太陽の間を通り抜け(内合)、今度は夜明け前の空に「明けの明星」として姿を見せます。
上旬から中旬にかけては太陽に非常に近く、金星の上がったすぐ後から太陽が昇ってしまいます。

8日深夜~9日夜明け前にかけての月と木星の接近、また13日夜明け前の月と火星の接近は、望遠鏡を使わずに肉眼でももちろん見えます。

☆6月の惑星
・水星:6月中旬にかけて、日没後の西の低空に見えます。
    明るさは0.2等~1.4等です。

・金星:上旬から中旬にかけては太陽に非常に近いので観察できません。
    下旬になると夜明け前の東北東の空で「明けの明星」としてとても明るく見えるようになります。
    明るさはマイナス4.4等です。

・火星:夜明け前、南東方向の空に見えます。
    明るさは0.0等~マイナス0.5等です。

・木星と土星:深夜から夜明け前、南東~南方向の空に見えます。
木星は明るさマイナス2.6等~マイナス2.7等、土星は明るさ0.4等~0.2等です。夜半前の22時頃に見えるようになるのは、2020年7月以降です。

☆2020年6月の月齢と主な天文現象

4日 水星が太陽の左側に一番離れて見える位置にきます(東方最大離角)

6日 満月(日没時に東の地平線からのぼってきます。)
   半影月食

8日深夜~9日夜明け前 南東~南南西の空で、月と木星が近づきます。

13日0時頃~夜明け前 南東の空で、月と火星が近づきます。

13日 下弦の半月 深夜に東の地平線から上ってきます。観測のおすすめ時間帯は午前2時くらいから。

21日 夏至
   新月(月が太陽方向にあり観測出来ない)。
   16時前後から18時頃にかけて、日本各地で部分日食が見られます。
   ※アラビア半島南部~インド北部~中国・台湾の限られた場所では金環日食となります。

28日 上弦の半月(今月2回目) 日没の時に南中(南の空で一番高い位置に来ます)
   月の観測のおすすめ時間帯は日没から夜9時位まで。地平線に近くならないうちに見ましょう。

2020年6月15日21時、東京から南方向の空

☆6月の星空観望会の中止について

6月27日(土)に予定しておりました田奈星空観望会は、新型コロナウイルス肺炎の国内での市中感染の状況判断により、念のため中止となります。
今後の開催の可否は、国内の感染状況を見て後日お知らせいたします。
楽しみにされていた方には、大変申し訳ありませんが、あしからずご了承ください。