★ ごあいさつ

皆さまご機嫌いかがでしょうか。
今年も花粉の季節。花粉が野球のボールくらいの大きさならば目にも鼻にも入らず、助かるのだがなぁと言ったら、
「それじゃ危なくて、外を歩けないだろう」と言われてしまいました。ごもっともです。
花粉のせいだけはないのですが、春は空が薄ぼんやりした日が多く、なにか星空もはっきりしない日が多いようです。
それでも見どころはあり、楽しめる天文現象はあります。
それでは4月の星空情報をお届けします。

★火星と土星の大接近(4月11日 明け方)

4月11日(木)の明け方、太陽を通り越した火星と土星が大接近します。
望遠鏡倍率を50倍くらいにすれば、視野内に2つの惑星がすっぽり入り、土星の方はだいぶ傾いてきた環も見られるはずです。
かなり低空ですので、あらかじめ東南東側が開けた場所を確保してご覧ください。
あと、早起きするというのがコツと言えばコツでしょうか。
火星と土星を同一写野に入れて写真を撮りたい方もおられるかと思います。
幸いなことにこの時点の両星の等級は、どちらも1.2等。つまり、光度差がないので、両方適正露出で写るはずです。
難しいかもしれませんが、適当な機材をお持ちの方は試してみてください。

参考リンク:

火星(国立天文台)

 https://www.nao.ac.jp/astro/basic/mars.html

土星(wikipedia)
 https://w.wiki/3QmD

★月とプレアデスが接近(4月11日 夕方)

同じく4月11日(木)、こんどは夕方の西空を見てください。
月齢2.4の細い月とプレアデス星団(すばる)が接近します。
このところ月とプレアデスの接近は頻々と起きていたのですが、この時期になるとプレアデスはだいぶ低空になって、
今回が今シーズンのラストチャンスと言ってよいでしょう。
小型双眼鏡の視野にすっぽり入るくらいに接近しますので、ぜひ観望してください。
少しでも長い時間見たいですので、なるべく西から西北西方向が開けた場所でご覧ください。

参考リンク:

プレアデス星団(wikipedia)
 https://w.wiki/4BrF

★木星と天王星が接近(4月21日 夕方)

4月21日(日)、夕方の空に明るく輝く木星を望遠鏡の視野に入れてください。
倍率はまず20~25倍くらい、あるいはお持ちの最低倍率のアイピースにして木星を中央に入れましょう。
すると視野周辺近くに天王星が見つかるはずです。
そのあと、両星の中間くらいの位置を視野の中心近くに持っていき、50倍ていどに倍率を上げてください。
これで同一視野で木星と天王星が見られます。
この時間帯は同時にガリレオ衛星が4つとも見られますから、これは2度おいしい観望ができるはずです。
天王星とガリレオ衛星の明るさの比較もしてみてください。
また双眼鏡しか持っていない方も、まずは木星を視野に入れてみましょう。条件によっては天王星が見られるかもしれません。

参考リンク:

木星(宇宙科学研究所キッズサイト)
 https://www.kids.isas.jaxa.jp/zukan/solarsystem/jupiter01.html
天王星(wikipedia)
 https://w.wiki/3GXU

★ 春の十字星、からす座

南十字星。まだ見ぬ南の国々へのあこがれと、ロマンに溢れたよい名前です。南十字星は石垣島などの南の島を除き、日本からは見られません。だからこそあこがれの対象になるのでしょうが・・・。

しかし、似たようなものはあるのでして、先月ご紹介した「春の大曲線」の終着点「からす座」がそれです。
ずいぶん以前に刊行された「星のふるさと」(鈴木壽壽子著)という本で、からす座のことを「春の十字星」と紹介されていました。
からす座は小さく地味な星座ですが、春の十字星とはうまい表現だと思います。ちょっと傾いた十字なのもまた可愛らしいものです。

参考リンク:

春の大曲線(wikipedia)

 https://w.wiki/977q

からす座(wikipedia)
 https://w.wiki/9XMG

★ 今月の惑星

・水星:4月11日に内合となり夕方から明け方にまわります。太陽に近く、観望には適しません。
・金星:太陽に近く、観望はできません。
・火星:上記のとおり土星とのランデブーはありますが、3~4時台出現で、ほとんどが日中にありますので、観望時期はまだ当分先でしょう。
・木星:夕方の西の空に薄暮の頃から見えていますが、だいぶ低空になっているので、地球大気の影響でゆらゆらして見ずらいです。今シーズンの木星もそろそろ終わりでしょう。
・土星:前記のとおり11日明け方に火星と接近しますが、まだ低空のうちにすぐ夜が明けてしまいますので、当分観望には不適当です。
・天王星:夕方には沈んでしまうので、ほとんど観望時間がとれないでしょう。ただ上記のとおり木星とのランデブーがあります。

参考リンク:

・太陽系天体の出入りと南中(国立天文台)

 https://eco.mtk.nao.ac.jp/cgi-bin/koyomi/cande/riseset.cgi

★ 今月の月

4月は2日が下弦、9日が新月で西空に回り、夕方から見やすくなり、16日が上弦、24日が満月です。
4月の満月は、北アメリカではピンクムーンいう名称があります。
これはアメリカ先住民の風習に由来し、アメリカでは、芝桜やピンク色のフロックスの開花時期が4月のため、ピンクムーンと呼ぶようになったそうです。日本ならさしずめ「さくら月」というところでしょうか。ソメイヨシノは散っても、すぐヤエザクラの時期で、どちらにしてもピンク色ですね。
そういえばちょうどぴったりの歌がありました。

清水へ祇園をよぎる桜月夜こよひ逢ふ人みなうつくしき(与謝野晶子)

参考リンク:

・今日のこよみ(国立天文台):月の欠け具合、月の出、南中、月の入の時刻がわかります。
 https://eco.mtk.nao.ac.jp/cgi-bin/koyomi/sunmoon.cgi