★ ごあいさつ

新年おめでとうございます。

子どもの頃は「お年玉を貯めて、天体望遠鏡を買って」なんて毎年思っていましたが、貯まる前に使ってしまい、なかなか買えなくて・・・・いったい何に使っちゃったのか、今でも謎です。

新春と言っても、これからがいちばん寒くなるわけです。まあこれは明治5年の改暦でズレたのが原因なのですが、でも、ものは考えようで、「なあに、もう春だ、これから暖かくなるぜ」と思えば、心も軽くなるというもの。

まずは、今年も楽しく星を見ましょう!

★ 新年は、しぶんぎ座流星群から(1月4、5日)

2024年のしぶんぎ座流星群は1月4日の18時頃が極大と考えられていますが、この頃は日本では放射点が地平線近くです。また、0時頃になると月が上がってくるので、4日、5日両日の19~0時頃が狙い目と思われます。

予想出現数は1時間に10数個ていどと考えられています。

12月号のふたご座流星群のところでも書きましたが、流星観測には望遠鏡はいりません。とりあえず楽な体勢で空を見上げてください。でも、くれぐれも寝てしまわないように。

参考リンク:

・しぶんぎ座流星群(wikipedia)

https://w.wiki/8QNi

★ 月、金星、アンタレスが接近(1月9日 払暁)

1月9日(火)の明け方近くに、細い月が金星、アンタレスに接近します。

8倍クラスの双眼鏡だとギリギリ同一視野に入ります。だんだん明けてゆく空に溶け込んでゆく金星とアンタレスが楽しめます。と言ってもどちらも空がかなり明るくなってからも見えています。どのくらい見えているかを調べてみるのも面白いです。

★ 今月も月とすばるが接近(1月20日)

1月20日(土)、月とすばるが接近します。もっとも接近するのは、日付が変わった21日0時30分頃ですが、20時頃から月が徐々に近づいていくようすがわかります。

こういう現象は時間をおいてゆったり見ていくのがオツなもの。帰宅したら見て、食事してから見て、寝る前にまた見て、という具合に・・・。あ、ふろ上がりに見て、湯冷めしないようご注意を。

先月も書きましたが、月とすばるを一緒に見ると、月とすばるの四辺形がほぼ同じ大きさなのがわかります。すばるの見かけの大きさが意外に大きい(あるいは月が意外に小さい)のです。

★ いっかくじゅう座β星(見ておもしろい三重星)

いっかくじゅう座は、明るい星のない地味な星座ですが、ここには、いっかくじゅう座β(ベータ)星という三重星があります。

この星が三重星であることを発見したのは、18~19世紀イギリスの天文学者ウィリアム・ハーシェルです。ハーシェルはこの星を「天上で最も美しい眺めのひとつ」と書いています。まあ、それほどではないとも思いますが、その配列はとても面白いです。

β星を探すのは、わりと簡単です。

(1)南の空を見上げ、冬の大三角形をなぞってください。

(2)ベテルギウスとシリウス間の直線上2:3くらいのシリウス寄り位置から大三角形のわずかに内側に4等星があります。

これがいっかくじゅう座βです。(わずかに外側の星ではありません。これはγ星です。)

4等星なので、都会地での肉眼はかなりきついですが、双眼鏡があれば簡単に探せます。望遠鏡のファインダーでも、たぶんわかります。

この星を望遠鏡で楽しむには、なるべく高倍率の方が良いでしょう。お持ちのアイピース(接眼レンズ)の中でもっとも焦点距離の短い(数字の小さい)ものを使ってください。まず低~中倍率のアイピースでβ星を視野中央に入れ、そのあと高倍率アイピースに差し替えるとよいでしょう。アイピース交換中は望遠鏡を動かさないように注意してください。

上の3枚の作図:松本陽一

参考リンク:

・いっかくじゅう座ベータ星(wikipedia)

https://w.wiki/8QPy

★6等星

肉眼で見られるいちばん暗い星は6等星というのは、多くの方がご存じと思います。もちろん個人差はありますが・・・では6等星はどのくらいの明るさなのか?本当に見えるのか?そんなときちょうどよい星が、おおいぬ座にあります。

(1)シリウスとおおいぬ座β星(ミルザム)を直線で結んでください。

(2)その直線のちょっと上の1:2:1の位置にそれぞれひとつずつ暗い星があります。

(3)左側(シリウス寄り)の星、これが6等星です。

ただ、都会地で6等星を肉眼で見るのは、まず難しいです。

空のよい(暗い)ところに行く機会があったら、ぜひ試してみてください。また、双眼鏡で確認して、それから肉眼で見ると、案外見えることがあります。

なお、右側(ミルザム側)の暗い星は5.8等星ですから、この2星の明るさの違いがわかったら、あなたは0.2等を見分けられることになります。

参考リンク:

・等級(天文)(wikipedia)

https://w.wiki/8P9V

★ 今月の惑星

・水星:1月12日西方最大離角になり、その頃は明け方の東の低空に見えます。

・金星:あいかわらず明けの明星として、未明の東空にマイナス4等級で明るく輝いています。明け方かなり明るくなってからでも見られます。

・火星:引き続き地球からもっとも遠くなり、昼間の位置にあるので、ほとんど見られません。

・木星:夕方18時頃に南中していますので、ちょうど観望しやすい位置にあります。入りは午前1時頃ですので。まだまだ観望の好期です。楕円形の外形、表面の縞模様、ガリレオ衛星などが小口径の望遠鏡でも楽しめます。

・土星:夕方、南西の空にあります。だいぶ低くなっており、21時頃に沈んでしまいますが、ちょっと観望するのにはじゅうぶんです。今後当分は環の傾斜が浅くなっていきますので、ぜひ今のうちに楽しんでください。

・天王星:19時頃南中ですので、ちょうど良い位置にいます。5.6等と暗い星ですが、水色の美しい惑星です。ぜひご覧ください。

参考リンク:

・太陽系天体の出入りと南中(国立天文台)

https://eco.mtk.nao.ac.jp/cgi-bin/koyomi/cande/riseset.cg

★ 月面ビューポイント:ティコ

月の南側の、明るい山地の中のひときわ明るい直径85kmの大型クレーター、これがティコです。

ほぼ全周にわたって光条が出ており、とても派手で目立つクレーターです。小口径の望遠鏡でも見やすく、双眼鏡でも結構わかりやすいです。

ミカンのヘタみたいだと言った人がいましたが、なるほどそのようにも見えます。

参考リンク:

・ティコ(クレーター)(wikipedia)

https://w.wiki/8PDm

・ティコ・ブラーエ(人物)については・・・(wikipedia)

https://w.wiki/3CZN

★ 今月の月

1月は11日が新月で西空に回り、夕方に見やすくなり、18日が上弦、26日が満月です。

1年で最初の満月は、アメリカ先住民の間では“ウルフムーン”と呼ばれてます。飢えたオオカミが、凍てつく空に輝く月に向かって吠える、といったところでしょうか。

あるいは、この月を見ると変身するからか? ウルフムーンを見て吠えたくなったら要注意。あなたは狼男(あるいは狼女)になりかかっているかも??

参考リンク:

・今日のこよみ(国立天文台):月の欠け具合、月の出、南中、月の入の時刻がわかります。
 https://eco.mtk.nao.ac.jp/cgi-bin/koyomi/sunmoon.cgi