☆ ごあいさつ
皆様こんにちは。
秋の日はつるべ落とし。本当に日の落ちるのが早くなってきました。夕方人の顔が見えずらくなってくるので「誰そ彼」すなわちたそがれどきなのですが、今や都会はどこでも明かりが煌々として、顔がよくわからないなんてことも、あまりないですね。
そういえば、たそがれどきは今でも使いますが、かはたれどきという言葉はすっかり使われなくなりました。なくしてしまうには惜しい言葉って、結構ありますね。
それでは、11月の星空情報をお送りいたします。

★11月の夜空
夏の大三角は、早い時間帯でしたらまだ西空にいますが、だいぶ低くなってきました。東の空を見ると、プレアデス(すばる)が上ってきました。
どうもプレアデスが上がってくると、秋深しを感じます。なぜ冬の星で秋を感じるのか?それはたぶん、秋の星座が地味なものが多いからだと思います。夏と冬の派手な星座に挟まれて、秋のそれはワリをくってるようで気の毒です。まあ、今年は秋の四辺形の下の目立つ位置に土星がいるので、助かっていますが・・・・。
もうひとつ、北の空のカシオペヤ座が“W”から“3”に、そして“M”に見えてくると、これまた秋の深まりを感じますね。

★十三夜(2日)
11月2日は「後(のち)の月」と呼ばれる「十三夜」です。これは中秋の名月の翌月の満月の2日前で、昔は「栗名月」「豆名月」とも呼ばれていました。
完全な円形もよいけれど、少しだけ完璧に満たないものを愛でるというのは、いかにも昔の日本人の美意識に合っている感じがします。
なんたって月ですから、望遠鏡の視野に導入するのも容易。夕方には上っていますから、時間もちょうどよいです(その代わり月が明るくて、星の観望には向きません)。
望遠鏡の脇にちいさなテーブルを出し、紅茶とマロングラッセ、あるいは熱燗と煮豆をお供に少し欠けた月を楽しむなんて、オツなものじゃありませんか。

★月はまぶしいがプレアデスの食(6日)
1月6日夜から7日にかけてプレアデス星団(すばる)が月齢16の月に隠されます。22時頃から見始めるとちょうどよいでしょう。
今回は、満月の翌日なので月がまぶしく、プレアデスが見ずらいです。双眼鏡より望遠鏡、それも少し倍率を上げた方がまぶしさが軽減されます。月を視野の端に寄せて見ると観望しやすくなるでしょう。

望遠鏡で天体を見るとき、天頂ミラー、天頂プリズムの使用の有無によって、倒立像や裏像になることがありますので、ご注意ください。
詳しくは以下のリンクを参照してください。
・スコープタウン(用語集)「天頂ミラー」 https://scopetown.jp/word/zenith-mirror/
参考リンク:
・プレアデス星団(wikipedia) https://w.wiki/4BrF
★ 天王星とプレアデスの接近(中~下旬)
天王星が見ごろです。といっても5.6等星なので、肉眼で見つけるのは無理です。でも今はプレアデスが近くにいて、双眼鏡の同一視野に入ります。双眼鏡や小口径ではあのきれいな色までは無理と思いますが、、、、。数日おきにでも観察すると、移動がわかると思います。

参考リンク:
・天王星(wikipedia)https://w.wiki/3GXU
★今年3回目の土星環消失(11月25日)
11月25日、土星の環と地球が同一平面上に来る(つまり環を真横から見る位置に来る)ため、3月24日、5月7日に続き3回目の土星の環が消失し(見えなくなり)ます。環のない土星なんて魅力がないというのは本音ですが、まあレアな現象であり、次回は15年後ですから、見ておいて損はありません。
※なお、シミュレーション図では薄い環が見えていますが、実際はよほどの大口径望遠鏡でなければ、見ることはできません。


参考リンク:
・土星(wikipedia) https://w.wiki/3QmD
・土星の環(wikipedia) https://w.wiki/43pQ
★秋のひとつぼし「フォーマルハウト」
春、夏、冬の空には複数の1等星がいますが、秋の1等星はフォーマルハウトひとつだけです。まわりに明るい星がなく、ポツンとひとつだけ輝いていいるその姿は、なにか秋の物寂しさ感じさせます。
このあたりの星座は「みなみのうお座」。フォーマルハウトとは“魚の口”という意味があります。
1等星ですから見つけるのは簡単、秋の四辺形から探しても良いですが、そんなことをしなくとも、今月なら20時頃に南の低空に明るい星があります。それがフォーマルハウトです。
参考:日本で見られる季節ごとの1等星
春:レグルス(しし)、アルクトゥルス(うしかい)、スピカ(おとめ)
夏:アンタレス(さそり)、ベガ(こと)、デネブ(はくちょう)、アルタイル(わし)
秋:フォーマルハウト(みなみのうお)
冬:アルデバラン(おうし)、カペラ(ぎょしゃ)、ベテルギウス(オリオン)、リゲル(オリオン)、シリウス(おおいぬ)、カノープス(りゅうこつ)、プロキオン(こいぬ)、ポルックス(ふたご)
参考リンク:
・フォーマルハウト(wikipedia)https://w.wiki/536w
★今シーズンも「冬の超大三角」がある
木星が観望シーズンに入ってきました。今年の木星は、ふたご座のポルックスの近くにあり、5~8倍程度の双眼鏡なら同一視野に入ります。肉眼だとみつご座になったような配列です。
さて、今シーズンは木星がひじょうにつごうのよい場所にいるため、「冬の超大三角」が見られます。
昨シーズンの超大三角は火星、木星、シリウスでしたが、今年は木星、アルデバラン、シリウスが雄大なトライアングルを構成します。
★今月の惑星
・水星:20日に内合となるため、ほとんど見られません。
・金星:上旬は明け方の東の低空で輝いていますが、かなり見ずらいです。その後高度が下がるため見られなくなります。
・火星:太陽に近く、高度がたいへん低いため、ほとんど見られません。
・木星:ふたご座のポルックスの近くにあり、夜半前に上がります。観測シーズンです。
・土星:ほぼ一晩中見えています。観望、観測、撮影の好期です。
・天王星:プレアデスの近くにあり、ほぼ一晩中見えています。観望の好期です。
参考リンク:
・太陽系天体の出入りと南中(国立天文台)
https://eco.mtk.nao.ac.jp/cgi-bin/koyomi/cande/riseset.cgi
★今月の月
2025年11月は2日が後の月(十三夜)、5日が満月、下弦が12日、20日が新月、28日が上弦となります。
<月に近づく天体>
2日(日)土星
6日(木)プレアデス星団の食
10日(月)木星、ふたご座のポルックス
12日(水)プレセペ星団(未明)
13日(木)しし座のレグルスの食(ただし昼間)
29日(土)土星
参考リンク:
・今日のこよみ(国立天文台):月の欠け具合、月の出、南中、月の入の時刻がわかります。
https://eco.mtk.nao.ac.jp/cgi-bin/koyomi/sunmoon.cgi






