☆ ごあいさつ
皆様こんにちは。
22日は冬至。子どもの頃春分の日と秋分の日は休みなのに、なんで夏至と冬至は祝日にならないのだろうかと思ったものです。
冬至の銭湯では、今でも「ゆず湯」をやっているところが多く、季節の行事というものは、楽しいものです。
ストーブを出し、こたつを出し、暖房便座のスイッチも入れ、休みの日でもとにかくやることはいっぱいあるのに、朝は布団から出るのがつらいこの頃です。
それでは、12月の星空情報をお送りいたします。

★12月の夜空
暮れるのが早い12月は、早い時間なら夏の星がまだ楽しめます。そしてほどなく東からは、派手な冬の大三角が上ってきます。
今年はポルックスの近くに木星もいて、今年も「冬の超大三角」が楽しめます(11月の星空情報を参照願います)。
冬の銀河は夏のように濃くありません。ですので、相当空が暗い場所でないと見ずらいのですが、この時期は、夏の銀河あたりからがだんだん銀河の腕の薄れていくようすがわかり、興味深いです。カシオペヤ座あたりまでが結構濃く、ペルセウス座あたりで急に淡く、ほとんど見えなくなります。そして、ぎょしゃ座あたりからまたほんのり見えだします。急流のような場所と、おだやかな流れの場所があるところなどは、地球上の河川のようです(理屈は違いますが)。

★ペルセウス座の二重星団(h+χ)
二つの散開星団がくっついたように見えることから“二重星団”と呼ばれています。
西側がh星団、東側がχ星団と言い、両方合わせてh+χ(エイチカイまたはエッチカイ)とも呼ばれています(マニアはだいたいエイチカイと呼んでいるようです)。
月のない夜なら口径3㎝ていど双眼鏡でもパラパラっとした星団の姿がわかります。5㎝クラスの双眼鏡なら一つひとつの星に分離できて、面白い眺めです。
空の暗い環境なら、赤、青、黄などの色とりどりの星があるのがわかり、まるで二つの宝石箱をひっくり返したような美しさです。
天体望遠鏡を使うときは、なるべく低倍率で見てください。
<二重星団の探し方>
(1) カシオペア座のWの形をみつけてください。今の季節ですと、どちらかというと「M」ですが・・・・。
(2) 双眼鏡でW形の2つめと3つめの星を結んでください。
(3) 結んだ線を3つめ側に約2倍延長してください。小さな星が集まっているのがわかると思います。これがペルセウス座の二重星団です。



参考リンク:
・二重星団(wikipedia) https://w.wiki/75UN
★見えるかM31(アンドロメダ銀河)
私たちの天の川銀河が属する局部銀河群の花形はなんといってもM31、アンドロメダ銀河です。ベテラン天文マニアなどは「アンドロメダ大星雲」と言いたいところでしょうが、まあ仕方ないです。M31は私たちの天の川銀河から250万光年。宇宙のスケールでは隣町というところです。
アンドロメダ座のα星とγ星を直線で結ぶと、ほぼ中間にあるのがβ星。このβ星から直角に北側(カシオペヤ側)に折れると、ちょっとした星の集まりがあります。そのあたりをよくご覧ください。双眼鏡や望遠鏡(なるべく低倍率)で見ると、ボーっとにじんだような、小さな霞のように見えるものがあります。これがM31です。
露出時間をかけて写真を撮ると、渦巻き状の美しい姿が見られますが、眼視では、そこまでは無理です。
しかし、空の暗い空気の澄んだ環境でしたら、M31は肉眼で見ることができます。実はこのM31は「私たちが肉眼で見られるもっとも遠くにあるもの」です。条件が揃ったら肉眼でもチャレンジしてみてください。


参考リンク:
・アンドロメダ銀河(wikipedia) https://w.wiki/3Dyo
★大みそかはプレアデス食
今月もプレアデス(すばる)食が見られます。それも大みそかの夜です。20時前後から見始めると面白いと思います、大そうじも片付き、年越しそばも食べ終わった頃、望遠鏡を月に向けてください。月がプレアデスの星を次々と隠していきます。寒くなったら暖かい部屋に戻って紅白を見て、暖まったらまた外へ出て・・・・これで除夜の鐘が聞こえてくれば最高なのですが・・・・。
望遠鏡で天体を見るとき、天頂ミラー、天頂プリズムの使用の有無によって、倒立像や裏像になることがありますので、ご注意ください。詳しくは以下のリンクを参照してください。
・スコープタウン(用語集)「天頂ミラー」 https://scopetown.jp/word/zenith-mirror/
参考リンク:
・プレアデス星団(wikipedia) https://w.wiki/4BrF
★見れば長生き!?「カノープス」
太陽を別にすると、いちばん明るい恒星はシリウス(マイナス1.5等)。二番目がりゅうこつ座のカノープス(マイナス0.7等)です。
カノープスは、冬になるととかく話題になる星です。それはなぜか?・・・・見ずらいからです。
東京での高度は約2度。南側に少しでも高い山や建物があると見られません。福島県あたりが理論上の北限で、それより北では見ることができません。逆に南の地方の方は、わりと楽に見られます。
シリウスの次に明るい星ですが、地平線近くでは大気の汚れやもやなどの影響で、なかなか見られず、見られても結構暗いです。
見るコツは、とにかく南が開けた場所で見ること。高い場所で見ること(危険な場所にはいかないように)。そして晴天時を狙うことです。
地平線ぎりぎりに見えるカノープスは、地上の風景と対比しやすいので、思ったより早く移動していることがわかります。これも楽しみのひとつでしょう。
カノープスは、いにしえの中国では「南極老人星」と呼ばれ、見ると長生きできる星と珍重されてきました。今シーズンは、このおめでたい星をぜひご覧になってください。

参考リンク:
・カノープス(wikipedia) https://w.wiki/75UN
★今月の惑星
・水星:12月8日に西方最大離角となるため、前後1週間程度は明け方の東のごく低空にあります。
・金星:明け方の東のごく低空にありますが、見るのは難しいでしょう。
・火星:太陽に近いため、ほとんど見られません。
・木星:ふたご座のポルックスの近くにあり、ほぼ一晩中見えています。観望、観測の好期です。
・土星:日没前後に南中します。南天のひじょうに見やすい位置にいます。環の細くなった土星を楽しむチャンスです。
・天王星:12月31日から1月1日にかけて、プレアデス星団に接近します。
参考リンク:
・太陽系天体の出入りと南中(国立天文台)
https://eco.mtk.nao.ac.jp/cgi-bin/koyomi/cande/riseset.cgi
★今月の月
2025年12月は、5日が満月、下弦が12日、20日が新月、28日が上弦となります。
<月に近づく天体>
4日(月)プレアデス星団
7日(日)ふたご座のポルックスと木星の間を月が通過
8日(月)プレセペ星団(未明)
10日(水)しし座のレグルス(明け方)
15日(月)おとめ座のスピカ(明け方)
27日(土)土星
31日(水)プレアデス食
参考リンク:
・今日のこよみ(国立天文台):月の欠け具合、月の出、南中、月の入の時刻がわかります。
https://eco.mtk.nao.ac.jp/cgi-bin/koyomi/sunmoon.cgi






