★ごあいさつ
薫風爽やかな季節となってきました。
皆さまいかがお過ごしでしょうか。
このところ、惑星がよいところになく、ちょっと寂しい気がしますが、見どころはまだたくさんあります。
5月前半の大型連休は、月齢のめぐり合わせもよく、空のよい場所への遠征をされる方も多いと思います。
また、連休後もこの時期は晴天率が高く、星見にはうってつけの季節です。
ぜひ楽しんでください。
それでは、5月の星空情報をお届けいたします。
★3日連続、東の空で細い月と惑星が接近(5月4、5、6日 明け方)
5月4~6日の3日間、細い月と惑星が、東のごく低い空で接近します。
遠征先で一晩たっぷり観望、撮影をした後の明け方、東の低空での月と惑星の邂逅を楽しんでから仮眠するというのも、オツなものではないでしょうか。
・5月4日:月齢25の月と土星が接近(土星は1.2等)
・5月5日:月齢26の月と火星が接近(火星は1.1等)
・5月6日:月齢27の月と水星が接近(水星は0.8等)
★プレセペ星団(M44)
かに座の甲羅の部分にある著名な散開星団です。
500個以上の星で構成されていますが、私たちの望遠鏡や双眼鏡では、そこまではとても見られませんが、それでも数えきれない数の星が見られます。
かに座には明るい星がないので、探すときはふたご座としし座からたどるのが便利です。
探し方はポルックス(ふたごの明るい方)とレグルス(しし座でいちばん明るい星)を直線で結んでください。直線の真ん中よりややポルックス寄りにたくさんの星がパラパラと散らされたように見えるところがあります。これがプレセペ星団です。
参考リンク:
プレセぺ星団(wikipedia)
https://w.wiki/4BrF
★メロッテ111(かみのけ座の散開星団)
かみのけ座というのは、たくさんの系外銀河(かみのけ座銀河団)があることを除いては地味な星座で、明るい星も少なくて気の毒な星座ですが、見て面白い散開星団があります。
それはMel111。「Mel」はメロッテと読みます。
プレアデスとかヒアデスと言った固有名はありませんが「メロッテ111」というのも語感がよく、ちょっと格好よくないですか?
このMel111、ひじょうにわかりやすく、見つけやすい場所にあります。
◎北斗七星の柄の先端のアルカイドと、しし座の尻尾のデネボラを直線で結びます。
◎2:1の場所をじっと見ると、そこにあるのがMel111です。
(なお1:2のところにあるのはコル・カロリ)
約30個の星からなっていて、広がりが5度近くあるので、望遠鏡では最低倍率でもはみ出てしまいます。というわけでこの星団は、双眼鏡での観望が最適でしょう。
5~6等級の星で構成されているので、双眼鏡はあるていど口径の大きい方が楽しめます。
5~7㎝クラスの双眼鏡をお持ちの方は、対物レンズを向けてみましょう。
また、簡単なコンパクトデジカメでも結構よく写ると思います。
三脚に据えて、1~数秒の露出をかけてみてください。
参考リンク:
Mel 111(wikipedia)
https://w.wiki/3GXU
★もっとも美しいもの「プリケリマ」(うしかい座ε星)
まず春の星の中でもっとも明るいアークトゥルスを見つけます。
このアークトゥルスを結び目として幅広のネクタイを描いてみましょう。
(あるいはお中元などの熨斗紙の「のし」みたいな・・・・)これがうしかい座です。
うしかい座のネクタイの結び目から東側2つ目にあるのがプリケリマです。
プリケリマは黄色い2.5等の主星と、青い4.9等の伴星からなる二重星です。
プリケリマというのはラテン語で「もっとも美しいもの」という意味で、19世紀ロシアの天文学者ストルーベにより名づけられたと言われています。
残念なことに主星と伴星の離角が2.8秒と小さいため、小型望遠鏡での観望対象としてはいささか難物です。
地域の科学館などの観望会で大口径の望遠鏡で見る機会があったら、ぜひ楽しんでください。
もちろん小口径でも見えるかどうか試してみてください。
参考リンク:
うしかい座イプシロン星(wikipedia)
★かわいらしい二重星アルギエバ(しし座γ星)
アルギエバはしし座の二重星です。
?マークを裏返したような形を見つけてください。獅子の大鎌といわれている部分です。
この?の点の部分にあるのが1等星レグルス。このレグルスから上にふたつ目、ちょうどライオンの首筋あたりにある2等星がアルギエバ。2.2等と3.4等の二重星です。
離角が約5秒なので、小口径でじゅうぶんに楽しめます。
春は面白い重星がたくさんあります。
参考リンク:
しし座ガンマ星(wikipedia)
★今月の惑星
・水星:4月11日に内合となり夕方から明け方にまわります。太陽に近く、観望には適しません。
・金星:太陽に近く、観望はできません。
・火星:深夜2時台に出て、午後15時台に沈みますので、たいへん見ずらいでしょう。
・木星:朝4時台に出て、夕方18時台に沈みますので、つまり太陽とほとんど一緒の動きをしましから、ほとんど見ることができません。
・土星:環の傾きがすっかり浅くなってきました。深夜1時台に上がりますので夜ふかし(または早起き)が必要です。
・天王星:木星と同様に朝4時台に出て、夕方18時台に沈みますので、太陽とほとんど一緒の動きをしましから、ほとんど見ることができません。
参考リンク:
・太陽系天体の出入りと南中(国立天文台)
https://eco.mtk.nao.ac.jp/cgi-bin/koyomi/cande/riseset.cgi
★今月の月
5月は1日が下弦、8日が新月で西空に回り、夕方から見やすくなり、15日が上弦、23日が満月です。
5月の満月は、北アメリカではフラワームーンいう別名があります。
ここ日本もこれからは花の季節。星を愛で、花を愛で・・・・心にそんな余裕が持てるとよいですね・・・・なかなか難しいですが。
天の海に雲の波立ち月の船 星の林に漕ぎ隠る見ゆ(柿本人麻呂)
参考リンク:
・今日のこよみ(国立天文台):月の欠け具合、月の出、南中、月の入の時刻がわかります。
https://eco.mtk.nao.ac.jp/cgi-bin/koyomi/sunmoon.cgi