初心者にとって理想的な望遠鏡は、屈折式+経緯台
初心者用として理想的な望遠鏡とは、
1、操作が簡単(目標の星に簡単に望遠鏡を向けられる)。
2、 準備が簡単(部屋から出してすぐ使える)。
3、 片付けやメンテナンス簡単。
4、 衝撃を加えてもレンズが狂いにくい。
この要求に応えるのは、「屈折式鏡筒+経緯台」の望遠鏡です。
スコープテックの望遠鏡セットは、すべてこの「屈折式鏡筒+経緯台」です。
屈折式鏡筒とは、筒の先端にレンズがついているタイプの鏡筒です。これに対し、茶筒のような形の筒の、底の部分に鏡がついているタイプの鏡筒を、反射式と呼びます。他にもいろいろ方式がありますが、この二つが代表的な方式です。
経緯台とは、縦横にだけ動くシンプルな架台です。これに対して、星の動きを追尾するように動く、赤道儀という架台があります。
「屈折式+経緯台」は、初心者にとって理想的なだけではありません。実は、複数の望遠鏡を使い分けるような、ベテランの天文愛好家にとってもありがたい存在なのです。
高性能 ≠ 使いやすさ
はじめての望遠鏡を買いに、カメラ量販店に行った方がいました。その方は、十万円超の「反射式+赤道儀」を手に入れました。口径が大きい反射式望遠鏡と、大きく頑丈な赤道儀は、いかにも高性能そうだし、後々の拡張性にも期待が持てたから、とのことでした。
確かにその望遠鏡セットは高性能だったかもしれません。しかし、性能が高ければ使いやすいかと言えば、そんなことはありません。
結局、操作に苦労したその方は、どうにもならなくなってスコープタウンに駆け込んできました。
反射望遠鏡は、じゃじゃ馬です
まず反射望遠鏡は、部屋から出してすぐに星を観察しても、像が揺らいで、うまくピントが合いません。望遠鏡の筒の中の温度と外気温に差があると、筒の中に気流が生まれて、像が揺らぐのです。おさまるまで、30分以上も待つ必要があります。
また反射式は、構造上、衝撃によって調整が狂いやすいです(これを、光軸ずれと言います)。光軸ずれが起きると望遠鏡の像はボケ、本来の性能を発揮することができません。
赤道儀は頑丈ですが、重いです
赤道儀は、軸が傾いていて不安定なため、バランスを取るための錘(おもり)が必要です。また、同じ望遠鏡を支える場合でも、経緯台よりずっと頑丈に作る必要があります。
赤道儀の仕組は意外に難しく、セッティングも面倒です
また、星が天球でどのように動くか、天球の座標がどうなっているかをしっかり理解していなければ赤道儀を使いこなす事は出来ません。まず最初に、ひとつの軸を北極星の方向に正確に向ける必要があり、セッティングにも時間がかかります。
手軽だからこそずーっと使える ”屈折式+経緯台”
複数の天体望遠鏡を使い分けるようなベテランでも、一番使用頻度の高い望遠鏡は、屈折式+経緯台という方々は決して少なくありません。
会社帰りに空を見上げたら、きれいな月が出ていた。ちょっと望遠鏡でも出してみるか・・・そんなときに手軽に出して来られるのは屈折式+経緯台です。
また、口径の大きな望遠鏡ほど、空の気流の影響も大きくなるため、せっかく苦労して出してきても、いざ望遠鏡をのぞいてみたら、「今日は気流が激しすぎてどうにもならない」と、断念することがあります。
こんなときにも便利なのが、屈折式+経緯台です。まずはその、小さく手軽な望遠鏡を出してくる。それで明るい星をのぞけば、その日の気流の状態がわかります。
「今日は抜群にゆれが少ない!」ということなら、すぐに大きい望遠鏡を出して、セッティングを始めましょう。逆に、「今日はどうにもならん」ということなら、そのまま小さい望遠鏡で観察するか、あきらめて家の中に戻ればよいのです。